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LUMINE meets ART PROJECT

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2025.05.01LUMINE meets ART

meets ART story #15

  • #INTERVIEW

滞在先での交流やたまたま出合った素材。
感性を研ぎ澄ませて偶然を楽しむ、田中紗樹のアートの世界

ときには自転車やトレーラーハウスをキャンバスに見立ててペイントし、またあるときは香辛料を顔料代わりにドローイング。旅先での滞在制作をライフワークとするアーティスト、田中紗樹さんは、いわゆる画材ではないものも作品の素材として取り入れるのが得意だ。制作の様子を見ていると、自身がペイントを施した紙をハサミで直感的にカットし、それを新たな素材としてコラージュに使うなど、たまたま生まれた(または出合った)色やかたちを楽しんでいるように見える。

「偶然を待っているところはありますね。さまざまな色や質感のものを素材として無作為に組み合わせたり、ひっくり返したりしていると、あるとき、バチッと来る瞬間が訪れる。固い印象のときは柔らかさを足し、カサカサしている感じがしたら潤いをプラスするなど、自分の感覚に従って手を動かしていると、意図していなかった美しさが生まれるんです」

ときには不用品や廃棄品を素材として用いることも。2024年にはルミネからの依頼で、贈答品の花が枯れたあとに残った鉢にペイントし、新たな価値を与える試みに挑戦した。ルミネ本社のエントランススペースに飾る絵画とあわせて公開制作を行い、完成した作品は現在もその場に飾られている。

「私はずっと、旅先にステイしながら日常に入り込み、土地や人々のエネルギーを感じながら作品を制作してきました。完成した作品がそのまま現地に残り、新たな風景を生み出していくことを願いながら。今回のルミネとのプロジェクトも、私にとってはその延長線上にあるもの。現場での3日間の制作中、通りすがりの社員やゲストの方が話しかけてくれて、まるで旅先で現地の人と交流するような楽しさがありました。制作しながら感じた本社の明るくてオープンなムードが、作品のカラフルで躍動感のあるタッチに反映されているかと思います」

子どもの頃から続けている書道の経験から生まれる、線のかすれや余白が醸すリズミカルな表現も田中さんの特徴のひとつ。近年は絵画だけでなく、不定期でオーダー文字の受注やイベントも行う。

「印刷物にはない手描きならではの空気感が生まれるのは、文字も絵画も同じです。唯一無二の味わいを楽しんでいただけたらうれしいですね」

作品イメージ

ルミネ本社のエントランススペースに飾られている絵画の前で。

作品イメージ

ペイントを施した植木鉢も同スペースに展示。

作品イメージ

好みの文字を田中さんに描いてもらえる「オーダー文字」。個展やイベント、オンラインストア(いずれも不定期)でオーダーを受け付けている。ギフト用に依頼する人も多いのだとか。

Text: Kaori Shimura Photo: Ikuko Hirose(上、中) Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi Planning: AERA AD section

※本記事は2024年9月24日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。