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LUMINE meets ART PROJECT

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2025.05.01LUMINE meets ART

meets ART story #16

  • #INTERVIEW

自由を求めて童心のままに。
反骨精神が生んだ独自のスタイルで動植物を描く糸川優の眼差し

物心がついた頃からイラストを描くのが好きだったという愛知県在住のアーティスト、糸川優さん。模写が得意で、当時はアニメのキャラクターなどを器用に描いていたそう。小学校では図工の授業で褒められることも多かったとか。

「ただ、先生から点数をつけられたり、絵や工作を直されたりすることに対して、自分の世界を否定されたような違和感があって。評価されるのが嫌で、中高時代もあえて美術部には入らず、自宅のパソコンを使って独学で作品を描いていました」

20代になると、友人や知人から記念日の似顔絵やウェルカムボードのイラストを依頼されるように。並行して美容部員やレポーターの仕事もしていたが、25歳を過ぎたとき、思いきってアートを生業にすることを決意。動植物のモチーフを下書きして、アースカラーを中心とした色を塗り、周りを黒いペンで縁取るというスタイルは、当時から既に完成していたという。

「これも小学校時代の話ですが、先生から黒い線で縁取るのは写実的じゃないからやめなさい、と言われて。でも、子どもの頃の無邪気さや純粋さを忘れたくないと思ったんです。アート業界の方からは『タッチが平面的』と言われることもありますが、ならば、それをむしろ自分の武器として貫こうという反骨精神もありまして(笑)」

3年前には初の個展を開催。絵一本で生きていくと決めてからそれまではずっと「こういうものを描いてほしい」という仕事の依頼に従って描いてきたが、個展では自分が描きたい作品だけをゼロから描いて発表することに。作品が生まれて初めて売れたときは、感動のあまり号泣してしまった、と糸川さん。

「自分らしさを認めてもらえた気がして。これまでの人生でいちばんうれしかった瞬間でした」

2024年9月にはルミネ町田の25周年を記念し、初のライブペインティングやアートワークショップを開催。今後はアートと音楽を融合したイベントなど、新たな試みにどんどん挑戦していきたいと語る。

「最近、母と話していて気づいたのですが、私が動植物を描くのは、彼らがあるがままの姿でいつも変わらずそこにいて、奔放な私を受け容れてくれるからじゃないかなって。きっとこれからも自由と童心を大切にしながら、描き続けていくのだと思います」

作品イメージ

ルミネ町田でのライブペインティング後の作品とともに。町田市の花であるサルビアをモチーフに描いた。

作品イメージ

アクリル絵の具を混ぜて、目指す色に調整する。

作品イメージ

ルミネ町田で開催したワークショップは、糸川さんデザインのカードにシールを自由に貼り、オリジナルのカードを制作するというもの。

Text: Kaori Shimura Photo: Ikuko Hirose Design: Satoko Miyakoshi Edit: Sayuri Kobayashi Planning: AERA AD section

※本記事は2024年11月25日に『AERA』に掲載された記事を再編集しております。
※情報は記事公開時点のもので、変更になることがございます。

  • LUMINE meets ART PROJECT

    LUMINE meets ART PROJECT
    アートと人々の未来の地図を描くプロジェクト。
    お客さまの日々の生活を豊かにする「アートのある毎日」を提案。
    ルミネ館内における展示や、暮らしに取り入れやすい作品を揃えたアートフェアの開催など、アートとの自由な出合いの場を創出します。