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目指したのはタイムレスな上質さ。大胆さと繊細さが共存するシーズンディスプレイ

2025.04.09

ルミネ各館で4月1日(火)からはじまったシーズンディスプレイのテーマは、「Beyond the Luxury -美意識とその先へ」。“時代を超えた美しさに必要なのは、自分自身のセンスや美意識を磨くことである”というメッセージを、優雅な曲線の連なりと上質さをイメージさせるカラーリングで表現しました。ディスプレイの一部には鮮やかなグリーンが見え隠れし、初夏らしさが感じられます。デザインが生まれた背景を、アートディレクションとデザインを手がけた株式会社mado代表の田丸靖史さんに聞きました。

ルミネ的ラグジュアリーを追い求めて

今回のテーマである「Beyond the Luxury -美意識とその先へ」とあわせて、「洗練されたシンプルなものをベースに、初夏らしいお出かけムードやワクワク感を加味したデザインにしてほしいというリクエストがあった」と田丸さん。一方で、これまでのルミネではあまり見られなかった“ラグジュアリー”というキーワード、そしてそんなイメージとは少し離れた初夏らしさを共存させることに難しさを感じたともいいます。

「ルミネらしい元気でポップな方向性ではなく、オーセンティックなスタイルではあるものの、地味になりすぎないような表現を探りました。加えて、そこに初夏のイメージをどうプラスしていくかということを、時間をかけて検討しました」

意識したのは、奇をてらったものにするのではなく、あくまでも静かで上質な空間をつくっていくこと。ただし「落ち着きすぎないよう大胆さも見せていけたら」と考えたといいます。

共通項を持つデザインで見せるふたつの世界

今回のディスプレイでは、場所によって2パターンのデザインが採用されました。繊細に形を変える円を重ねたレイヤーで時間の積み重なりを表現したパターンと、そこに豊かに生い茂る植物のイメージをインサートし、初夏らしさをプラスしたパターン。曲線を多用したデザインや、ベージュや白を基調としたカラーリングは共通しています。

「別々に提案していた2案が採用されましたが、時間の流れやうねりを構成のベースにした点は同じ。今回は特定のモチーフやシチュエーションを設定してそれを表現するよりは、抽象的なデザインで伝えられたらと思いました」

空間の立体感を演出するための見せ方にもこだわりがつまっています。円を重ねたパターンでは、背景の壁面の手前にブロンズ色のミラーを置き、さらに表面のガラスにも色の濃淡が異なるシートを重ねることで、複雑な奥行きを表現。ミラーの後ろには間接照明を設置し、空間をぼんやりと照らし出しています。

一方で、グリーンをあしらったものは、すべてグラフィックながら動きのある大胆な構成を意識。「ベージュの色づかいや上質なイメージと、ダイナミックさが感じられるような構成の組み合わせに注目していただきたいですね」と田丸さんは話しました。

見る人の価値観や美意識と共鳴する空間に

これまで幾度もルミネのシーズンディスプレイを手がけてきた田丸さんにとっても、2パターンを作成するのは初めて。「まったく違うイメージにはならないよう、共通項を持たせながら場所によって印象を変えていく手法を取りました」と制作中のスタンスを振り返ります。

また今回のテーマでは、元気で若者らしいアイテムよりもややエレガントな商品がディスプレイされると想定し、いつもの“ルミネらしい”イメージにとらわれないデザインに挑戦したそう。田丸さんは「ディスプレイが醸し出す上質感が、見る人の美意識やセンスに響いてくれたらうれしいですね」と語りました。

特にブロンズ色のミラーは映り込みの見え方もおもしろく、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれます。大胆でありながら、複雑で繊細。自由にたゆたうデザインは、思うがままにファッションを楽しむモチベーションを高めてくれるかもしれません。
期間/2025年4月1日(火)~5月7日(水)予定 ※ルミネ立川のみ4月21日(月)~5月7日(水)
ウィンドウテーマ/Beyond the Luxury -美意識とその先へ
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ立川、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

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Art Direction & Design/mado 田丸靖史 @madodisplay


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