LUMINE MAGAZINE

SCROLL

FASHION

WINDOW DISPLAY

南国の世界観に没入する、とびきりポジティブな シーズンディスプレイ

2025.05.16

ルミネ各館では、2025年5月8日(木)から6月4日(水)まで「Creative Exotica -異国の文化に想いを馳せて」をテーマとしたウィンドウディスプレイを展開しています。夏らしいカラフルな色彩が目を引くデザインを担当したのは、ディスプレイデザインや空間設計などを手がけるデザインムジカの安藤僚子さん。テーマから導き出したコンセプトや、こだわったポイントなどについて伺いました。

困難も多いけれど、楽しく強く生きていこう

「異国の文化に想いを馳せて」。そうサブタイトルにある通り、今回のテーマでは外の世界に目を向けることでインスピレーションを受けたり、異なる文化から力強さを得たりすることの楽しさが示唆されています。

一方で、夏の暑さは年々厳しいものとなり、さらに社会には環境問題や紛争など、さまざまな課題があふれています。夏に向けて開放的になる一方、気分が沈んでしまうような現実もある。制作に向けたオリエンテーションでそんな話を聞いた安藤さんは「ネガティブなものごともきちんと受け止めて、ポジティブに力強く生きていけるような、元気を与えられるウィンドウにしたい」と考えたといいます。

「異国といっても、海外旅行をして楽しもう!というものではないと感じたんです。昨今は円が弱かったりすることもあり、海外に行くハードルは高くなっていると思います。日本の夏の暑さも本当に過酷になっているので、世の中の人が夏だからと無条件にはしゃぐ気持ちになれなくなってきている印象を抱いていて。『Creative Exotica -異国の文化に想いを馳せて』というテーマからは、そんななかでも楽しく強く生きていこうというメッセージを受け取りました」

実在する民族模様を取り入れた山のモチーフ

テーマへの解釈をもとにデザインを考えるうえで、安藤さんは異国の文化を取り入れて夏を楽しもう、乗り切ろうという力強さや異文化へのリスペクトを込めた「Landscape」というコンセプトを据えました。

「知らない国の街並みや自然の景色を写した写真集、旅行ガイドなどを見ると、心が躍り、いつか行ってみたいと感じるもの。そんなふうにワクワクする気持ちや、遠くへ出かけたくなる前向きな気持ちを生む風景=ランドスケープを、どこかの異国を想像させる色・模様・植物・素材・空気感を盛り込みながら、ウィンドウの中に描こうと思いました」

そして生まれたのが、ユニークな「山」のかたちをしたパネルをメインのモチーフとして配置するアイデア。そこに異国情緒を感じる民族模様や色彩を取り入れました。

「イメージしたのは南国で、なかでも海沿いの街のような、ちょっと湿度が高いトロピカルなエリア。さまざまな植物が生い茂っているような地域についてリサーチを重ね、そこからインスピレーションを得て、民族模様や植物などのモチーフを導き出していきました。

世界には地域や部族ごとに伝統的な文様がたくさん存在していて、形や色の一つひとつに意味がある。人々の叡智が詰まっているんです。民族模様については、そういうもののなかから今回のテーマに合うものを見つけてきてデザインのなかに取り入れています。民族模様が好きな人だったら、『これってもしかして、アフリカのあのエリアの文様なんじゃないかな』と、ピンとくるかもしれません。詳しくない人にも、この形ってなにを表しているんだろう、どこの国のものなんだろうと想像してもらえたらいいなと思います」

造作物の質感にも注目

ウィンドウの空間には、山型のほかにもデフォルメされた植物の造作物が置かれトロピカルな南国のイメージを強めています。凹凸のあるレザーのようなしわが入った紙を使い、曲面になるよう曲げることでニョキニョキと生い茂る動きを表現。元気になれる色彩や民族模様に加えて、こうした紙の質感や細かなあしらいにも注目です。

制作中の印象的なエピソードを聞くと、「今回のウィンドウのデザインを考えている時期に、別の仕事でノルウェーに行ったんです」と安藤さん。「飛行機のなかから北欧を象徴するフィヨルドの風景を眺めながら、南国の民族模様や植物に想いを馳せるという。異国にいながら、また全然違う環境の異国のものをつくっていたというのが、おもしろく貴重な経験になりました」と続けました。

過酷な夏を前に、暗いニュースが流れてきたり、クリアすべき課題に辟易することもある。そんなネガティブな気持ちをポジティブに変えてくれるような、とびきり元気なウィンドウディスプレイ。ルミネを歩きながら、そのエネルギーを体感してみてください。
期間/2025年5月8日(木)~6月4日(水)予定
ウィンドウテーマ/Creative Exotica -異国の文化に想いを馳せて
実施館/ルミネ新宿、ルミネエスト新宿、ルミネ有楽町、ルミネ北千住、ルミネ池袋、ルミネ立川、ルミネ町田、ルミネ荻窪、ルミネ大宮、ルミネ横浜

---------------
Art Direction & Design/デザインムジカ 安藤僚子


===================
■関連記事
>> 目指したのはタイムレスな上質さ。大胆さと繊細さが共存するシーズンディスプレイ

TOP